ブラッドブラザース(新橋演舞場/150215夜/150221夜/150224夜/150227夜)

4公演見に行ってきました。書きたいことがてんこ盛りで、きりがなくなりそうだったので、ミッキーとエディの話を中心にざっくり感想メモ。うろおぼえの部分も多いですし、盛大にネタバレしているので、お気をつけくださいませ。

  • ざっくりあらすじ。
  • 経済的な事情から、別々の家で育てられた双子の兄弟のお話。桐山さん演じるミッキーは実の母親と貧しい環境で、神山さん演じるエディは裕福な家庭に引き取られ何不自由なく育ちます。偶然出会った2人は、双子であることを知らずに兄弟の契りを交わしますが、育った環境の違いが、その後の2人の生活に大きな影響を及ぼします。ミッキーは、幼馴染みのリンダと結婚するも、働いてた工場をクビになり、犯罪に加担し逮捕され、うつ病を発症、薬なしでは生活できなくなります。一方エディは大学に進み、議員になり、ミッキーと結婚したリンダと密会・・・楽しそうにするエディとリンダを見たミッキーは、エディを殺そうと、銃を持ち、エディのいる市役所に向かうのですが・・・
  • この舞台で、ミッキーとエディは7歳からを演じるのですが、7歳のミッキーとエディは相当のかわいさでした。双子でありながら、育ってきた環境の違いで全く違う個性をもったミッキーとエディの差が歴然としていて、でも、お互いに惹かれる姿がやっぱり双子なんだなあとも感じさせてくれて、すごくよかった。
  • 7歳のミッキーは、本当にかわいくて、かわいいのだけど、何というか、とても生々しい。客席に内緒の話を教えてくれるシーンで手で呼び寄せる仕草をするミッキーに、ちょっと前に行きそうになるくらい、そこで生きてる感が伝わってくる、そういう生々しさ。おもちゃの銃を舞台袖に投げるシーンで舞台下に落としたり、うまく袖に投げられない時のアドリブもすごくミッキー。1度、エディの家に行ってソファで飛び跳ねるミッキーがふらついたのだけど、その時に「おわおわ!」みたいな感じになった時もすごいミッキー。
  • 7歳のエディは、美しいし、かわいいし、清潔感の塊みたいな感じ、手をぎゅっと握りしめて太もものところに置いて、ニコニコしてる姿はお人形さんみたい。サミーが口に含んだマシュマロをエディの顔に向かって吹きかけるシーンがあるのだけど、その時も、ニコニコしたまま、自分の顔についたマシュマロや、周辺に散らばったマシュマロを拾い集めるエディが本当にかわいい。声も、神山さんの普段の声とは全然違うのだけど、それもすこぶるナチュラル。
  • 一旦、エディの引っ越しによって別れた2人が、14歳になって、それぞれの引っ越し先で再会。幼馴染のリンダに思いを伝えられないミッキーに、本で読んだ告白の言葉を教えるエディのトンチキっぷりもはっちゃけっぷりも最高で、それをトンチキだと思ってないでやってるエディも最高。エディは舞台中すごいセリフを結構口にするのだけど、ここでの「こかんがもえている・・・!」(アクションつき)は、なかなかの破壊力。
  • 順番前後しますが、休暇を過ごしたエディがママにお別れの挨拶をする時にハグをするのだけど、その時に、エディがいつも人差し指と中指でママの背中をトントンするの、毎回グッと来てたんだけど、どこで覚えたエディ。
  • そんなこんなで(?)、2人していかがわしい映画を見に行くことになるのですが(ざっくりはしょりすぎ)、見た後に、「おっぱい」「おっぱい」言いながら、通りかかった女子を突然お姫様だっこしてクルクル回ったかと思いきや、低音で「おっぱい」連呼しながら街灯に上るエディによるおっぱい讃頌・・・って、その流れも相当だけど、それに対して、真顔で「本当、いい声だわ・・・」っていう感想しか出てこない私も大概・・・
  • そこから、楽しく過ごす3人の姿が、年を追うごとに演じられるのだけど、このシーンでのナレーターの真琴さんが特にステキで夢中。3人の解説をしながら自然と溶け込んでいるんだけど、何か心の中をざわつかせる感じ。写真を撮ってほしくて真琴さんを呼ぶエディの後ろ姿がスキ。
  • 18歳になって、エディは大学に行くことに。ここで、エディがリンダに歌う曲が非常に切なく、別れ際に、ミッキーにリンダへの告白を促し、2人をくっつけるエディも切ない。色んなものを持ってるのだけど、リンダを手に入れられないエディ。
  • クリスマスになり、帰ってくるエディ。離れていた間に職を失い、その後も職が決まらないミッキーのところに現われたエディが、「仕事がないからって何だ、帽子をはすにかぶって「くたばっちまえ」って言えばいい」みたいなことを言うのだけど(超ニュアンス)、その時にミッキーが言う「はすにかぶろうにも、俺にはその帽子すらないんだ」が胸に迫りすぎてボンヤリ。このシーン、ミッキーは悲しそうにちょっと困りつつ諭すみたいな感じが続くのだけど、それが、見てて、本当苦しい。
  • エディは「金ならあるさ!」って自分の持ってるお金をミッキーに渡そうとするのだけど、悪気なんて全くなくて、本当に心からこれでいいって思ってる感じが伝わってきて、それもまた苦しい。
  • この辺りからとんでもない急展開。その後、ミッキーは犯罪に加担する形で逮捕され刑務所へ。うつ病と診断され、刑務所から出てきた後も薬が手放せない状態。そんな時に、リンダが家と仕事を探してくるのだけど、それも、エディが手を回してることに気がついてるミッキー、薬もやめられないミッキー。
  • そんなミッキーを見て、エディに電話するリンダ。エディと会って、手つないだり、ダンス踊ったり、エディがリンダのほっぺにチュウしたりするんだけど・・・その直前にリンダがミッキーに「あんたが必要なの。」「あんたを愛してるの。」的なことを言ってただけに、少女が目を覚まそうが何だろうが、どうしてこうなった感が強かったです・・・って、私、何か、見落とし(聞き落とし)てるのかな;
  • 楽しそうな2人と、薬をやめようともがくミッキーの姿の対比が本当苦しくて、「うがあああ!」ってなりそうでした(危)。なのに、昆さん演じるリンダの時は、身長差があるからか、エディがほっぺにチュウする時にちょっと膝曲げて屈むのが相当かっこよくて苦悩。どうしてこうなった感が強かろうが、ミッキー見てしんどくなろうが、かっこいいものはかっこよかった・・・
  • その楽しそうな2人を見たミッキーが、銃を持ってエディのいる市役所へ。市役所でのシーンになると、客電が一気について、客席も舞台の一部になる感じ。1階席でこのシーンを見た時の臨場感はすごかった。
  • そこに銃を持ってやってくるミッキー。2人のことを見たというミッキーに、リンダは友達だと言うエディ、周りを武装警官に囲まれ、「お前を殺しに来たのに、殺すことすらできない」というミッキー・・・一旦ちょっと落ち着いたのに、そこに、2人の実の母であるジョンストンのおばさまが来て、2人に、2人が実は双子であることを伝えてしまう。それを聴いたミッキーが口にする「なんで俺を渡さなかった。」がズシッと来すぎて、ズシっと来すぎました。その後、ミッキーはエディに引き金を引き、それと同時にミッキーも武装警官に撃たれる。
  • 冒頭で、このシーンを見てたはずなのに、舞台の空気感に巻き込まれて、すっかりこうなることを忘れてたせいか、最初見た時の衝撃が半端なかったです。2人が死んで、ジョンストンのおばさんが、「嘘だと言って・・・」と歌い出すのですが、初めて舞台を見た時、一緒に歌っちゃおうかと思いました、本当、嘘だと言ってくれ・・・(落ち着いて)。
  • 一旦思いとどまってたのだから、2人が双子だったという事実を知らされなければこんなことにはならなかったかもしれないと思うと、本当、やるせない(結局避けられなかった問題のような気もしなくもないけど/どっちだよ)。それと、その事実を知らされた時のミッキーの気持ちは最後のセリフとして届いたけど(それも、これからもっと話し合えば他の気持ちだって出てきたかもしれないとも思うけど)、事実を知ったエディはどう思ったのか、その気持ちが聞けないままなので、終わった後も結構考えてしまいました。今も考えてます。何ともいえない、複雑な表情をしてるんだよなあ、知った時のエディ。
  • 最後、ジョンストンのおばさまが2人の手を握らせ、2人の上に自分のコートをかけるのですが、それまで2人が全く違って見えたのに、手を握らせた時に、その2人の差がさーっと消えていくように見えて、それが本当に不思議で、と同時に、何て皮肉なんだろうとも思いました。死んだ2人を囲むように、警官が線を引くのがとても印象的でした。
  • カーテンコールでは、ジョンストンのおばさま役のマルシアさんが神山さんの横なのだけど、回が進むごとに、手をなかなか離さなかったり、ハグしたりしてて、ステキな空気感。
  • あれだけ悲しくて、あれだけやるせなかったのに、見終わった後に重さはなく、舞台の空気感がふわーっと濃霧のように自分の周りに漂って不思議な感じでした。このお話自体について、あれこれ考えているのですが、考えることによってこのお話がより深く自分の中に根付いていくような気がしています。